駅で。

所用で、京阪電車の深草駅を利用。
ふと見ると、改札口の脇に、ささやかな黒板が置かれていた。
そこには、昔ながらのチョークで、次のように書かれていた。

「受験生の皆さんへ　これまでの努力を存分に発揮して、是非合格を勝ち取って下さい」・・・駅員の手書きと思われるが、それは律儀で丁寧な字。
そういえば、昨日センター試験が終わったばかりである。
この黒板は、受験シーズンの間ずっと置かれているのだろうか。
事務室を除いてみると、ゴマシオ頭のおじさん駅員が事務室の奥で一人電卓をたたいていた。
同駅は、龍谷大学の最寄駅。


例えば、ファーストフードチェーン店の店頭などでも、店員手書きのメッセージボードを見ることがある。
それは集客のためでもあり、会社のイメージ戦略的な意味合いがある。
それを毎日誰かが書く取り決めになっているのだ。

　
しかし、ここは駅。
駅員サンがこんなことを書いても一文の得にもならないだろうし、電鉄会社の方針として通達が出ているわけでもないだろう。
この駅の駅員サンは、誰に言われたわけでもなく、何の見返りも求めず、この黒板を書いたのだ。
これはひょっとして、とても素敵なことではないだろうか。


経営戦略だなんだと偉そうなことを言っても、
しょせん企業はいろんな思いを持った、いろんな人のあつまりなのだ。