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下諏訪 2016 [日本の町散歩(中部)]

梅雨に入り、曇りや小雨の日が続くようになると撮影に出かけようとするモチベーションも下がってしまう。かつて鎌倉の地を雨の中撮り歩いたことがあったが、どこかほかにも灰色の雲の下で映える街はないものだろうか。。そんなふうに思いあぐねて、何となく「いいんじゃないか」と予感して曇天のもと訪ねたのが、下諏訪であった。
諏訪湖畔には上諏訪と下諏訪という二つの温泉街がある。大型ホテルや温泉施設が並ぶ上諏訪と異なり、下諏訪はかつての宿場町の面影をたっぷりと残す、昔ながらの温泉街であるという。「しもすわ」という響きも落ち着いていて心地よい。そんな穏やかな町なら曇り空でも、いや曇り空だからこそ見えてくる奥ゆかしき風情があるかもしれないと期待をかけて、街をあるいてみた。

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朝からしとしと雨・・
路面も緑も、いい感じで濡れている。
泊まった宿の前から、街歩きをスタートしようと思う。

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奥の緑は諏訪大社下社の秋宮。
旅館等がならぶこの通りはかつての中山道下諏訪宿であり、秋宮の手前に本陣跡も残る。


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共同浴場のひとつ「遊泉ハウス児湯(こゆ)」入口付近にある、優しい表情のお地蔵さん。
児湯は子宝に恵まれる湯といい、下諏訪の共同浴場の中でも大規模で新しい施設。


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湯田坂上から秋宮方面


ここから中山道は湯田坂と言われる坂を下り、諏訪神社春宮方面へと続いていく。
自動車の通る国道は別の新道となるため、風情ある表情が味わえるルートだ。

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湯田坂。
坂を下ってゆっくり15分ほど歩いたところに諏訪神社の春宮がある。


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坂の右側がバーとしても営業する「タロウ珈琲」。
古民家を活かした風情ある店だ。


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坂の途中に、鎌倉時代からの共同浴場「旦過の湯」(たんがのゆ)がある。
入りやすく改築されているが、風情のあるいい浴場だ。


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「旦過の湯」のこじんまりとした湯屋。
もとは修行僧のための施設だったといい、それを記念するレリーフが飾られている。


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湯田坂を下りると周囲は住宅街となるのであるが、
「鉄鉱泉本館」「古久屋旅館」のふたつの宿が並び、街道風情を醸し出している。


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「鉄鉱泉本館」前から湯田坂を振り返ったところ。


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「鉄鉱泉」の名の由来は不明だが、いつか泊まってみたいと思う表構えである。


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この2軒の旅館を過ぎると、沿道は住宅街になってしまうのであるが、旧街道だけあって、どことなく味のある街並みがつ続く。

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蔵があり・・


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洋館があり・・


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沿道にある「御作田社」前には湧水が。
御作田社は、諏訪神社の末社のひとつという。


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何気ない風情で道が続いていく様子が、なんとも好ましい


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途中、無料休憩所として改修された古民家「伏見屋邸」も。


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「伏見屋邸」を過ぎて間もなく、別の民家の軒下に55里を示す一里塚の跡が。
ここまでくると、春宮ももうすぐ。

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この一里塚のある建物を裏手に抜けてみる。


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立派な家紋のある蔵があり、街道筋の繁栄ぶりを伝える


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直ぐ近くに、別の家紋をもつ蔵が。


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・・・と、大きな鳥居の前に出て来た。

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こちらが、諏訪大社の春宮社である。


いちおう書いておくと、諏訪大社(信濃国の一之宮)は、上諏訪にある「上社」と、この下諏訪にある「下社」のふたつの社に分かれる。上と下と書くが、社格に違いはないそうだ。
そして、「上社」は「前宮」と「本宮」、「下社」は「春宮」と「秋宮」にそれぞれ分かれており、合計4つのお宮からなる神社というわけである。下社においては、神様は2月から7月かけては「春宮」におられ、8月から1月にかけては「秋宮」におられるという。

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江戸時代の建造という拝殿。


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春社境内には、傍らを流れる砥川の支流がとうとうと流れる


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砥川の本流と支流に囲まれた「中之島」に鎮座する浮島社。


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春社のすぐ西側を流れる清流、砥川の表情。


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そして、こちらが有名な「万治の石仏」。


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春宮門前にある「下馬橋」。
屋根が付いた太鼓橋で、今は暗渠になっているが下に川が流れている


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再び、門前のしっとりした街並み。


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このあたり、少し高台になっていて、諏訪湖の水面が臨める



町(駅方面)の方へ歩いてゆく。

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側溝に清冽な水の流れ。
春宮脇を流れていた砥川の分流であろうか。


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少し町らしくなってきた。


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路地もちらほら。


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下諏訪の町中を東西に走る「中央通り」に出て来た。


東(中心街)の方へ歩いてゆく。

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途中、銭湯を発見。
「新湯」といい、下諏訪温泉の外湯のひとつ。
昭和なたたずまいに惹かれるが、結局入らなかった。


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銭湯横のコインランドリーがまた良い。
狭そう。


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新湯あたりから東を見る。
信号のあるあたりが「御田町」といい、下諏訪の銀座四丁目にあたる。


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水色のドアが印象的な「すみれ洋裁店」
界隈に新たな風を吹かせたパイオニア的な店である。


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「すみれ洋裁店」から西方を見たところ。


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「中央通り」と直交する「御田町(みたまち)通り」。


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御田町の北のはずれに残る洋館風の建物(奥は和風の通常の民家になっている様子)
玄関に「生糸問屋 矢崎商店」のレリーフがある。



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御田町通りに、またもや気になる赤茶色の壁のお店が出現!


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お店の名はCAFE TAC。夜はダイニングバーとしても営業。


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CAFE TACが面する東西の通り。
奥の黄色い壁の建物はとんかつ「丸一」(美味しかった!)。


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再び、御田町通り。


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通りの表情。


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御田町通りにある「あんず木工房」の店構えにも惹かれるものが。


今度は御田町通りの一本西にある通りへ。
こちらは裏通りで、御多分に漏れず、飲み屋街の様子。

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こういう飲み屋街がきちんと残っていると、嬉しくなる。


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途中、アパート?宿屋?のような建物が・・
案の定、明治時代創業の旧「ますや旅館」というが、いまも人が出入りしている様子。
なんと、いまは全く別の若い女性が「マスヤゲストハウス」を運営しているとのこと。
20年前に廃業した旅館を、同じ宿泊施設として再生させるとは! 非常に気になる。


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さらに西へと抜けて行ける路地。


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とても良い雰囲気だ。


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通りの入り口近くの建物のシャッターには、見覚えある石仏さんが・・


このあたりの路地の様子。

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「マスヤゲストハウス」が気になるので、その向う側を見てみようと、路地を抜けてさらに西の通りへ出てみる。

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西側から見た「マスヤゲストハウス」の建物。
一本西側は、水路のある草むら道となっているが、
こちら側のほうがレンガ壁や門があって、立派な構えだ。


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門からこっそり中を覗いてみる。下駄箱などがあり、ざっくばらんな雰囲気。
二階も活用されている様子である。


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次回は是非、ここに泊まってみたい。


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「マスヤ」前(裏?)の草むら道。


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国道20号(中山道)を渡って南側へ。

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JR下諏訪駅方面へ続く比較的新しい地区だが、
それでも下諏訪らしい落ち着いた街並みが続く。


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駅近くに昭和レトロな建物を見つけた。


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薄緑に塗られた壁もかわいいこちらは、器のお店「sulosu」さん。今日はお休み。


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路地の奥には古民家カフェ「gatoha(ガトハ)」もあり、
下諏訪ルネサンスの一翼を担う一角のようだ。


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駅前通りに出て来た。シャッターを閉めているところも多いが、
二軒先に看板が見えている「チャボ食堂」等、良き店もちらほら。


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下諏訪駅。特急「あずさ」は一部が停車する。


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さて、中心部へと戻ろう。

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御田町と国道20号(旧中山道)の交差する辺りに煙突のある建物が。


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近づいていくと「菅野温泉」の案内が。昭和19年創業の共同浴場との事


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「菅野温泉」は「すげのおんせん」と読み、入口はちょっとそっけないが、
中はちゃんと番台のある良い雰囲気の銭湯だった。
個人的には旦過の湯と並んで、ここもオススメ。


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菅野温泉のあたりから「みなとや」等の温泉宿が集まる方面へ抜けていく路地


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家々の合間を縫って続く石畳風の路地。「詩吟教室」がまた良い風情だ。


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「みなとや」「まるや」といった老舗旅館が並ぶ通りに出て来た。
ここも旧中山道という。東に向かって緩やかな上り坂だ。


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何てことない建物だが、窓周り等がどこかモダンな気がして


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この通りの北側、「まるや」「奴」等の裏手にあたる通りも雰囲気が良い。

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さらに北側の衣紋坂(えもんざか)。降りていくと御田町の交差点だ。


こんどは「みなとや」の南側裏手を横切る路地へ。こちらも石畳風になっている。

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曲がりくねって続く路地は面白い


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「まるや」の角で中山道は北へと向きを変え、最初の写真と同じ地点に出てくる
向こうの森は諏訪大社の秋宮だ。


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すぐ向かいには、下諏訪宿の本陣跡がある


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秋宮のすぐ傍らにある塩羊羹の「新鶴本店」
名物に旨い物なしというが、ここの羊羹は美味かった


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秋宮前の道路は甲州道中という。これと中山道が交わるのが下諏訪宿であった


さて、秋宮へお参りしよう。

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春宮に比べると、国道や駅に近いためもあってか人が多い
もともと宿場本陣に近いゆえに開かれた雰囲気があるのだろう。


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秋宮前の大社通り(八幡坂)。
広々として気持ちが良い通りに、土産物屋やオルゴールミュージアム等がある


夕方になって、天気が回復してきた・・

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撮影:2016年7月
本文:2021年3月

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