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三国 2018 [日本の町散歩(中部)]

三国は、歌うように風が吹く、おだやかな港町である。日本海を目の前にし、九頭竜川の河口に開けたこの街は、北前船の寄港地として越前随一、北陸屈指の繁栄を誇った。いまも九頭竜川右岸に沿って細長く3kmに渡って古い商家建築や花街跡等が続き、見ごたえがある。北側の一角を占めていた三国の花街の格式は、当時日本でも屈指と云われていたらしい。遊女達の素養の高さも世に聞こえており、書、華道、俳諧、茶の湯等に優れた者が何人もいたという。実際に江戸で女流俳人として名を残した哥川(かせん)は、出村町の妓楼出身であった。三国の商人達の教養も高かったといい、街全体がどこか文化的に豊かなものを持っていたと思われる。
三国を歩くと、ふと三味線の音が聞こえてきたり、気の利いた盆栽が並んでいたりと、ゆらゆらとそんな時代の町の気品が、今もたゆたっているように感じられるのが不思議である。

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