ウィーン 2011 [ヨーロッパの町紀行]
大学生のころ、一度ウィーンを訪れたことがあった。ガイドブックが示す華やかな王族の都のイメージとは裏腹に、都市としての内実を完全に失ったかのような街のうつろな表情に、いたくがっかりしたことを覚えている。
有名なリンク通りで囲まれた旧市街は、それはそれは美しいものであったが、そこでは殆ど人の生活というものが感じられなかった。みやげ物にしても、出し物にしても、古くさいものばかりで、現代の感覚に根ざすものは、ここからは何一つ生み出されていないように思えた。
「この街は、あるいは博物館であって、生きた都市ではない」・・・そう思うしかなかった。
ハプスブルクの栄華も、ワルツの夢も、世紀末の輝きも、すべてが遠い過去のものとなり、今はその搾りかすだけが残った、都市の屍(しかばね)。そのかすからは残り香さえも感じられず、滞在するだけで全身が倦んでくる街、それがウィーンであった。
しかし今回、12年ぶりに訪れた二度目のウィーンでは、その時とは幾分違う、生き生きした様相を垣間見ることができた。それはちょうど、朽ち果てた倒木の老いた木肌から、新しい芽が吹き出すような有り様でもあった。
・・・・< 「ウィーン 2011」目次 >・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・「ウィーン 2011」 本編
→ (そのまま下へ)
・「ウィーン 2011 その2」 ”グリンツィングとヒーツィング”
→ http://club-carousel.blog.so-net.ne.jp/2012-11-23
・「ウィーン 2011 その3」 ”ウィーン郊外夕暮れ紀行~バーデンへ”
→ http://club-carousel.blog.so-net.ne.jp/2012-11-23-1
・「ウィーン 2011 その4」 ”ウィーン車窓めぐり U6とウィーン郊外線 (おまけ:トラム好きの方へ)”
→ http://club-carousel.blog.so-net.ne.jp/2012-11-23-2
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実は今回、2月ということで、雪の降りしきるウィーンを期待していたのだが、残念ながら初日は雨。唇を噛みながら出かけたのだが、濡れそぼつウィーンはそれはそれで印象的であった。雨があがってもどんよりと雲に覆われた冬のウィーンは、すこしだけデモーニッシュな表情をして私を楽しませてくれた。
ウィーン名物のひとつ、赤い路面電車は、ポルシェデザインの前衛的なシルバーの新型車両にだんだん主役の座を譲りつつある・・・と、記したのは12年前。年月が経った2011年現在、赤い路面電車はすっかり天然記念物的存在に・・・と思いきや、全然そんなことはない。相変わらず街のいたるところを走りまくっていて、今もやっぱりウィーンの主役なのである。12年前には2割くらいであった新型車両の割合が、今回は5割程度に増えているかな、くらいである。ウィーンの変化はじつにゆっくりしている。
もっとも、ウィーンの路面電車はそれだけおびただしい車両数があるということでもあるが。
雨の上がった街を歩く。
少し町はずれへ・・
再び中心街へ
夕暮れが近付くにつれ、ウィーンの街並みの美はにわかに増大する。
夜のとばりがウィーンをやさしく包んでゆく。
旧市街に残る娼館「ジョセフィーヌ」のちょっとエッチな看板。
お店に入る勇気とお金はありませんでした。
さて、歩き疲れた私は、地下鉄に乗って、夜遅くまでやっているカフェ・シュペールへ。
地下鉄駅のトイレの入り口にあるコンドームの販売機。なぜここで売っているのか。
地下鉄四号線の駅はどこもオットー・ヴァーグナーデザインが残る。
店内は広く、静かで人々が思い思いに過ごしている。
地下鉄駅(左)と、そのすぐわきに停まる市電。このシンプルな利便性を日本も見習ってほしい。
冬晴れのウィーン。
ウィーンの中心部の谷に沿って走っている地下鉄4号線。
何か、神田川の谷にかかる御茶の水の橋の上からJR中央線を見るのに似ている。
ウィーン 目抜き通りの午後
旧市街のケルントナー通りは年配の人が多い。
リンクの外のマリアヒルファー通りは、若者も多い。
気持ちのいい滞在でした。
※ウィーンのホテル
今回私が宿泊したウィーンのホテルが、実によいホテルであった。
西駅の近くに位置する「Boutique Hotel Stadthalle」。
大きなホテルではなく、普通のアパートメントを一部改造しただけのいわゆるプチホテルの部類だが、現代ウィーンのアート感覚溢れる洒落たホテルであり、それ以上にスタッフのフレンドリーさが印象に残るホテルだった。
レセプションのドーラ嬢は、今回の旅行で見かけたあらゆるウィーン美女にも増して、チャーミングだった。。
このボリュームとクオリティの朝食バイキングがまた無料・・・
運が良かったのか何なのか、キャンセル不可の限定特別割引価格が設定されており、一泊50ユーロもしない激安価格で滞在できた。
歩いてすぐのところに市電49番の停留所があるのもポイントが高い。
旅行前は、旧市街のホテルにこだわって探した時期があったが、かえって西駅周辺等の生活臭あふれる周辺地域に宿をとって正解。毎日地元民に混じって市電に揺られ、旧市街に通うのがとても楽しかった。
有名なリンク通りで囲まれた旧市街は、それはそれは美しいものであったが、そこでは殆ど人の生活というものが感じられなかった。みやげ物にしても、出し物にしても、古くさいものばかりで、現代の感覚に根ざすものは、ここからは何一つ生み出されていないように思えた。
「この街は、あるいは博物館であって、生きた都市ではない」・・・そう思うしかなかった。
ハプスブルクの栄華も、ワルツの夢も、世紀末の輝きも、すべてが遠い過去のものとなり、今はその搾りかすだけが残った、都市の屍(しかばね)。そのかすからは残り香さえも感じられず、滞在するだけで全身が倦んでくる街、それがウィーンであった。
しかし今回、12年ぶりに訪れた二度目のウィーンでは、その時とは幾分違う、生き生きした様相を垣間見ることができた。それはちょうど、朽ち果てた倒木の老いた木肌から、新しい芽が吹き出すような有り様でもあった。
・・・・< 「ウィーン 2011」目次 >・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・「ウィーン 2011」 本編
→ (そのまま下へ)
・「ウィーン 2011 その2」 ”グリンツィングとヒーツィング”
→ http://club-carousel.blog.so-net.ne.jp/2012-11-23
・「ウィーン 2011 その3」 ”ウィーン郊外夕暮れ紀行~バーデンへ”
→ http://club-carousel.blog.so-net.ne.jp/2012-11-23-1
・「ウィーン 2011 その4」 ”ウィーン車窓めぐり U6とウィーン郊外線 (おまけ:トラム好きの方へ)”
→ http://club-carousel.blog.so-net.ne.jp/2012-11-23-2
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実は今回、2月ということで、雪の降りしきるウィーンを期待していたのだが、残念ながら初日は雨。唇を噛みながら出かけたのだが、濡れそぼつウィーンはそれはそれで印象的であった。雨があがってもどんよりと雲に覆われた冬のウィーンは、すこしだけデモーニッシュな表情をして私を楽しませてくれた。
ウィーン名物のひとつ、赤い路面電車は、ポルシェデザインの前衛的なシルバーの新型車両にだんだん主役の座を譲りつつある・・・と、記したのは12年前。年月が経った2011年現在、赤い路面電車はすっかり天然記念物的存在に・・・と思いきや、全然そんなことはない。相変わらず街のいたるところを走りまくっていて、今もやっぱりウィーンの主役なのである。12年前には2割くらいであった新型車両の割合が、今回は5割程度に増えているかな、くらいである。ウィーンの変化はじつにゆっくりしている。
もっとも、ウィーンの路面電車はそれだけおびただしい車両数があるということでもあるが。
雨の上がった街を歩く。
少し町はずれへ・・
再び中心街へ
夕暮れが近付くにつれ、ウィーンの街並みの美はにわかに増大する。
夜のとばりがウィーンをやさしく包んでゆく。
旧市街に残る娼館「ジョセフィーヌ」のちょっとエッチな看板。
お店に入る勇気とお金はありませんでした。
さて、歩き疲れた私は、地下鉄に乗って、夜遅くまでやっているカフェ・シュペールへ。
地下鉄駅のトイレの入り口にあるコンドームの販売機。なぜここで売っているのか。
地下鉄四号線の駅はどこもオットー・ヴァーグナーデザインが残る。
店内は広く、静かで人々が思い思いに過ごしている。
地下鉄駅(左)と、そのすぐわきに停まる市電。このシンプルな利便性を日本も見習ってほしい。
冬晴れのウィーン。
ウィーンの中心部の谷に沿って走っている地下鉄4号線。
何か、神田川の谷にかかる御茶の水の橋の上からJR中央線を見るのに似ている。
ウィーン 目抜き通りの午後
旧市街のケルントナー通りは年配の人が多い。
リンクの外のマリアヒルファー通りは、若者も多い。
気持ちのいい滞在でした。
※ウィーンのホテル
今回私が宿泊したウィーンのホテルが、実によいホテルであった。
西駅の近くに位置する「Boutique Hotel Stadthalle」。
大きなホテルではなく、普通のアパートメントを一部改造しただけのいわゆるプチホテルの部類だが、現代ウィーンのアート感覚溢れる洒落たホテルであり、それ以上にスタッフのフレンドリーさが印象に残るホテルだった。
レセプションのドーラ嬢は、今回の旅行で見かけたあらゆるウィーン美女にも増して、チャーミングだった。。
このボリュームとクオリティの朝食バイキングがまた無料・・・
運が良かったのか何なのか、キャンセル不可の限定特別割引価格が設定されており、一泊50ユーロもしない激安価格で滞在できた。
歩いてすぐのところに市電49番の停留所があるのもポイントが高い。
旅行前は、旧市街のホテルにこだわって探した時期があったが、かえって西駅周辺等の生活臭あふれる周辺地域に宿をとって正解。毎日地元民に混じって市電に揺られ、旧市街に通うのがとても楽しかった。
撮影 2011年2月9日~13日
本文 2011年6月
本文 2011年6月
2012-11-17 12:26
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