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パリ 2014 (6) 番外編~パリのメトロ、駅、電車 [ヨーロッパの町紀行]

パリでもやっぱり、鉄道が気になってしまう私。当然、地下鉄や電車は、街歩きの合間合間の交通手段のひとつなわけであるが、ただの手段としてだけでなく、そこにもパリらしさ、パリならではの匂いが嗅ぎとれるとなればより一層、私はそちらに寄り道をしてしまうのである。
とくにパリのメトロは独特の乗り物である。日本でいう「地下鉄」よりもはるかに身近であり、はるかに街に溶け込んでいる。何よりもパリのメトロ網は、東京の鉄道網よりもはるかに細かい。駅間距離も短く、小さな車体でちょこまかと走る。パリの通りを少し歩くだけで、すぐにあちらにもこちらにも、メトロへの降り口があるのに気付くだろう。その階段を少し降りればもうそこはメトロのプラットフォームである。各駅ごとに独自の意匠があり、美意識があるメトロの駅めぐりは、もうそれだけでひとつのパリ体験なのだ。
本稿では、パリ旅の番外編として、こうしたメトロの表情を皮切りに、パリ市内に6つある大きな鉄道ターミナル駅をめぐったり、また普段ガイドブックなどにあまり取り上げられることのない、郊外電車に乗ってみたりした際の写真を掲載する。

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パリ 2014 (5) メニルモンタン [ヨーロッパの町紀行]

メニルモンタン、それはロベール・ドアノーが愛した街であり、あのいとおしい映画「赤い風船」の舞台となった場所でもある。パリ東郊の高台一帯を指し、生粋のパリジャンは少なく、地方や他国からの流入者、比較的貧しい労働者階級の人々の住む街。名所と呼べる場所もおしゃれな店も少なく、観光客向けのガイドブックにはまず載ることのない地味なエリアだが、だからこそなのか、土地っ子のメニルモンタン愛は、人一倍強いのだという。たしかにシャンソンには「メニルモンタン」という名歌(シャルル・トレネ作)があるし、有名なエンターテイナー、モーリス・シュバリエにも「メニルモンタンのマーチ」という楽しい歌がある。

わたしは、今回のパリ旅行ではこの高台の下町、メニルモンタン通りからほど近い場所に宿をとった。たった一週間ではあったが、毎朝私を送り出し、毎晩私を迎え入れ、パリにおける私の「地元」となったこのメニルモンタンをご紹介しよう。

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パリ 2014 (4) モンパルナス / ビュット・オ・カイユ [ヨーロッパの町紀行]

モンパルナスもまた、左岸文化を代表する地域のひとつ。1910年代以降、観光地化され、閉塞感のあった右岸のモンマルトルから多くのアーティスト達がここに移り住んだ。その中心はピカソ、シャガールといった、純粋なフランス人、パリっ子ではない移民アーティスト達であり、既存の概念に縛られない自由な独創性を重んじた人々であった。
その後、パリは世界のアートシーンの先端を行くようになるが、その中心はまぎれもなくモンパルナス。世界中からアポリネール、ミロ、キスリング、藤田嗣治といった貧乏芸術家が集まり、いくつものコミューンをつくり、モンパルナスのカフェに集ってお互いを高め合ったという。こうした動きには、アメリカからやってきた比較的裕福な画商や出版界の名士などがこの地に魅せられ、拠点としたことも少なからず関係があろう。
毎日がお祭りのような当時のモンパルナスの様子は、やはりこの時期アメリカからやってきてモンパルナスに住んだ若きヘミングウェイの著作「移動祝祭日」に克明に記されている。

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パリ 2014 (3) サンジェルマン・デ・プレ / カルチェ・ラタン [ヨーロッパの町紀行]

パリの左岸、それはパリの中でも伝統的に独自の文化的香りを持つエリアである。世間的な既存の価値基準、経済軸、ヒエラルキーからはいい意味で離れた、自由で開放的で、自分自身の価値基準、そしてスタイルをしっかり持っている人が好む地域であるという。その中心は庶民であり学生であり、文化人であり知識人。アナクロニズムとはだいぶ違う。たとえ裕福でなくても、自分を確立して他者と交流し合い、街と人生を謳歌するのが左岸人種なのだ。
今回は、そんな左岸文化を代表するサンジェルマン・デ・プレ界隈と、左岸の精神的シンボルとも言えるソルボンヌ大学を中心としたカルチェ・ラタン周辺をまずは歩いてみた。

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パリ 2014 (2) バスティーユ / サンティエ / モンマルトル [ヨーロッパの町紀行]

パリ市はご存じのとおり市街を流れるセーヌ川によってざっと北側と南側に分けられ、北が右岸、南側が左岸である。そして、右岸と左岸では人々の気質が異なり、したがって街の雰囲気も少し異なっていると言われている。実際には右岸と左岸では右岸のほうが圧倒的に広く、ルーヴル美術館や凱旋門なども右岸側にあってメジャー感があるのに対し、左岸はパリ観光の目玉となる場所は少ない。(だからこそ左岸はいい、という話になるのだが、それは次の(3)で・・・)

本項(2)では、この広くバラエティ豊かな右岸の街の中で、バスティーユ、サンティエ、モンマルトルの3つのエリアをピックアップして歩いてみた。私にとっても今回は3度目のパリ。世界じゅうの人々を集める王道の観光地ではなく、なるべくパリの素顔に触れられる場所を探して歩いてみたつもりだが、その成果やいかに?
エッフェル塔もシャンゼリゼも出てこない右岸散歩だが、しばしお付き合い願いたい。

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